裏Helloも少しずつお酒が進み、
基本的に人見知りな私も打ち解けつつある場面に差し掛かった所で、
一人の見知らぬ方がひょっこり訪れて談の中に入っていた。
どうやら、りゅうたさんの知り合いらしく
”バンドの仲間かな” ”地元の友達かな” とか思いながら
それとなく目が合うと、突然
”あれ?なおきさん!” ”なおきさんじゃないすか!!” ”てか、なおきさんですよね!”
見知らぬ方は確かに私の顔を見てそう言った。
中学の後輩にも高校の時にも、昔バンドをやっていた時にも
そして最近会った中にも、全く見覚えの無い顔だった。
”あ・・あぁ・・なおきです。・・・え・・・誰?・・だっけ^^”
と言うしか無かった。
”黒田ですよ、黒田!”
その 「黒田」 の言葉を聞いただけで全ての謎が解けた。
帽子を被り、無精髭をはやした顔は確かに黒田だった。
その声と、同じ事を何度も言う癖と、そして今見せている表情。
”黒田?黒田じゃないか!” ”今何やってんの?今何処に居るの?”
黒田との記憶が次第に蘇って来る。
最後に会ったのはもう10年以上も前になるし
会った期間は1年かそこらだった。
3つ下で会社に入社して来て同じ職場に配属された黒田、
当時ルックス的にはタッキーに似た感じの今時の若者だった。
余り喋らなければ好青年なのだが、とにかく喋る。
話が5倍も10倍も大袈裟で ”止めろ” と言ってもそうは止まない。
いい加減雰囲気が悪くなった所で ”しゅん” となるが、
”しゅん” として居られる時間はほんの一時で、また復活する。
そんな黒田は2年程で会社を辞めてしまった。
途中から私は職場が変わっていたので
黒田と一緒に仕事をしたのはほんの短い期間だけだった。
ある時、前の職場を通った時に黒田が見当たらなかったので聞いてみたら
”ラーメン屋になりたい” と言って東京へ行ったらしいよ と聞かされた。
そんな黒田が目の前に居るもんだから
私もびっくりだが、黒田はその5倍も10倍もびっくりしている。
そして喋りまくる。
”ちょっと 俺、死に掛けたんすよ!!”
くも膜下で倒れたらしくて、大変だったそうだった。
確かにラーメン屋なんてそう簡単なものじゃないだろう。
仕込みから作って自分の味を出す迄も相当の努力も必要だろうし、
それが出来たからって売れなければ駄目だろうし。
どれ程の苦労をしたんだろうか、どれ程の修行をしたんだろうか、
今は北上で店を出しているそうだったから
相当な大変な事も乗り越えて来たんだろう。
そんな事を黒田に色々聞きたかったが、
それよりも何よりも、黒田は喋る。
倒れた時の事を木目細かく鮮明に身振り手振りで何度も説明する。
それが可笑しくて可笑しくて、大変な話なのにどうしても笑いが止まらない。
ただ、それでも思ったのは、
そうやって自分の異常を自分で自覚して自分で助けを求めたのは、
何よりも大切な事で、そう出来るものでは無いと思った。
もし自分がその状態だったら助けを呼べたかどうか と、考えてしまった。
そう考えると、自分も気合いを入れて生きないとな と思っていた。
ただ、そんな事を思っている時でもひたすら黒田は喋っている。
何が何だか分からなくなって来た所で
まっとさんの友人が迎えに着いた と言う知らせを聞いた。
”それじゃあ そろそろ・・・” と言って立ち上がると
いつの間にか黒田も居なくなっていた。
酔っぱらっていて頭の整理もつかないまま
裏Helloを後にしていました。
・・・そしてまっとさんとまっとさんの友人のお宅へ・・・
ちなみにですが、その後の余談で、
次の日の朝、妻に帰るコールをした時にそれとなく言った。
”昨日、黒田に会ったよ”
すると妻は
”黒田?・・黒田って・・・黒田?” ”えー! 何で黒田が居るの!?”
ほとんど私と同じリアクションだった。
posted by Naoki at 00:08|
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